しっかり稼いでしっかり休む
新しい農業経営を追求しています

私が独立就農したのは23歳の時。実家の農家で昔ながらの農業と向き合う中、自分らしい農業経営を志して独立しました。現在は「若い人からお年寄りまでできる負担の少ない農業」を目指し、機械化を進めるのはもちろん、パソコンやアプリなども駆使した農業法人経営を行っています。「休める農業」であることも重視していて、10名のスタッフでシフトを組むためしっかり休めますし、働くべき時に働き、暑すぎる夏場には計画的に仕事量を調整して長期休暇も。もちろんこれらは販路があってこそなので、簡単にできることではありません。栽培技術・品質の向上はもちろん、設備投資や営業など経営者の目線も必要。実現は大変ですが、達成感ややりがいもひとしおですよ。今後は、拡大してきた販路を地元の農家にも繋ぎ、産地全体を盛り上げていきたいと思っています。

勉強と改善を繰り返して品質向上
キャベツ畑は東京ドーム5個分に！

実家が農家で大変さは身にしみていたので、本当はやるつもりのなかった農業。ひょんなことから主人と2人でキャベツづくりをスタートさせました。農家出身とはいえ、夫婦ともにド素人。ただ作るだけでは上達しないので、本で調べたり勉強会に出席したりと情報収集を重ねましたよ。市場からの厳しいダメ出しに食らいつきながら生産努力を続けた結果、「野菜のことがわかってきたな」と思い始めたタイミングで「大吉農園のキャベツがほしい」と名指しでリピートしてもらえるように！注文の増加に応じて農地も増やし、今ではキャベツだけでも就農当初の100倍以上、25ヘクタール（東京ドーム5個分）になりました。農業では壁にぶつかることが多いと思いますが、諦めずに勉強したり、仲間や先輩に相談したり……常に改善しながら生産していくのが、長続きの秘訣だと思います。

鹿児島の有機栽培のパイオニアとして
新規参入される農家の力に

鹿児島でいち早く有機栽培を手掛けた父の農園を兄弟で継ぎ、有機・露地栽培の野菜作りに取り組んでいます。有機栽培は作物の病気や害虫への対応が大変とよく言われますが、まず「病気にならない」「虫を寄せ付けない」育て方を工夫しているので、農場経営の悩みは他の農家さんと変わりません（笑）。近年では飲食部門・加工部門を設け、名山町と姶良で有機野菜の食堂を経営。食べてくれる人と農園の距離がぐんと近くなりました。お客様の「美味しい」の声が直接聞けることや農園自体を知ってもらえることは、生産現場でも良い刺激になっています。美味しさを追求した野菜作りをする中で、最近は堆肥の必要性を痛感中。「しっかり発酵した良い堆肥」の入手が困難、という有機農家共通の課題解決に向け、大規模な堆肥作りを考えています。新規参入される有機農家さんの力にもなれたらいいですね。

実家の米農家で就農するも
長年の夢だった花き栽培の道へ

ブライダル向けのアレンジメントなどに使用される“切り葉”を生産する農業法人に勤務しています。私は農業高校で花ビジネスに目覚め、農業大学校では花き栽培を専攻。一度は独立就農を目指したんです。でも、当時は農園経営に対するビジョンが甘かったんですね、資金を調達できずに断念し、実家の米農家で10年就農しました。しかし「やっぱり花に関わりたい」という思いが年々強くなり、花の世界へ。独立就農ではなく、農業法人への就職を選びました。会社ではハウス単位で裁量を持って生産していますし、ずっとやりたかった花きを育てる仕事ができて、満足しています。自分で農園を経営できるのが理想かもしれませんが、農業に関わる道はいろいろ。独立を視野に、設備や栽培ノウハウがしっかりしている農業法人で働きながら技術と経営感覚を身につけるという選択肢もありますよ。

歴史ある鹿児島茶の栽培は
公的なサポートが手厚いのも魅力

老舗製茶会社の三代目として、お茶を自社栽培するのはもちろん、契約農家の協力も得ながらお茶の加工・販売まで手掛けています。鹿児島といえば、皆さんご存知のように生産量全国第2位のお茶処。県を代表する農産物だけに県のバックアップや関係機関のサポートも手厚く、資金や栽培技術も獲得しやすいと思いますよ。また、他の作物に比べて機械化が進んでいるのも特徴です。収穫は昭和の時代からいち早く完全機械化されていますし、最近では、広い茶畑にドローンを飛ばして病害虫を見つけ、ピンポイントで薬剤散布するような研究も進んでいて、とてもおもしろいんです。公的な試験場もあったりと常に先進的なのが鹿児島のお茶。若い農家も元気で、これからの日本のお茶業界をリードするのは鹿児島です！やる気とアイディア次第で、未来は明るいと信じています。

夏は海でシーカヤックガイド
冬は畑でスナップエンドウ農家です

夫とともに、夏は海でシーカヤックガイド、冬は畑でスナップエンドウや馬鈴薯を栽培しています。もともと県外でアウトドア系の仕事をしていたのですが、縁あって種子島に移住。オフシーズンの収入源として海の仕事と両立しやすい農業を選んだんです。農業はまったくの素人でしたが、栽培のノウハウも農地確保も、地元の農家さんに助けられながらうまく軌道に載せることができました。自分たちの目指すライフスタイルやビジョンを実現できる柔軟性も、自営業である農業の利点だと思います。作物は手を入れれば入れた分だけ応えてくれるのが魅力ですね。栽培作物を絞っているぶん手をかけられるので、一反あたりの収量は平均の倍以上を実現できていて、経営的にも安定感があります。最近念願のトラクターを入手したので、ずっとやりかった土作りにも力を入れられると楽しみにしています。

豊かな自然が広がる徳之島で
サトウキビと子牛を育てています

奄美群島のひとつである徳之島では、特産のサトウキビ栽培が盛んです。同時に、黒毛和牛の繁殖との複合経営を行う農家が多いんですよ。牛糞堆肥を畑に撒き、牛はサトウキビの葉を食べて育つ。昔ながらの循環型農業です。一方で、重労働だったサトウキビの収穫は、ハーベスターという収穫機の導入で格段に楽になりました。機械化で栽培面積を拡大でき、その結果、牛の飼育数も増加。複合経営の良さを生かして経営規模を拡大できています。農業の難しさはやはり天候に左右される点。徳之島も台風が多いですが、その中でもサトウキビは栽培しやすく一定の収量・収入が見込める作物なのが長所ですね。黒糖づくりまで手掛け、付加価値を高める工夫をしている農家もあります。海に山にと豊かな自然がある徳之島は、子育てにも良い環境。この島で好きな農業をやっていく、という生き方もいいと思いますよ。